田宮神剣流居合について

 居合とは、日本刀での太刀の抜き方、納め方、撃突、防御などの諸法を居座りのまま行う術である。そのため居合は抜刀術とも言われた。元来、武士の嗜みとしていついかなる場合でも危険に望んで急変に応じ、電光石火一瞬にして敵を制する太刀の使い方、そしてそれに伴う体と心の動きを術だったのである。

 「居」は千差万別、その時、その場所、様々に異なる状況が与える態姿である。「合」はその態姿でいかに臨機応変に合わせる当意即妙の働きをいう。

 田宮流の技の特徴は、大きく、正確に緻細ということであり、更に付け加えるならば「位」と「美」を忘れてはいけないということ、当流は江戸時代から「位の田宮」「美の田宮」と言われてきていることからも、これらの要点は大事中の大事としている。伝書には「抑々当流の伝授は、天然自然の理を以て、内志正しく、外体直ぐ、気体の和に隋って、数分の間にして、刀を抜き出すを以て修行の第一義とす」とある。また、他の現存する居合に比べて表之巻と虎乱之巻合わせて二十五本と少ないが、それを補うべき流派の奥義(規矩準縄:みのかね)が数多く残されている。

 

田宮神剣流居合

表之巻

一本目 稲妻(いなずま)

二本目 押抜(おしぬき)

三本目 除身(よけみ)

四本目 廻り掛(まわりがかり)

五本目 胸之刀(むねのかたな)

六本目 柄外(つかはずし)

七本目 突留(つきとめ)

八本目 白波(しらなみ)

九本目 逃身(にげみ)

十本目 追立(おいたて)

十一本目 嶺上(ちょうじょう)

 

虎乱之巻

一本目 刀合切(とうごうせつ)

二本目 水鏡(みずかがみ)

三本目 もぢり太刀(もぢりだち)

四本目 左鉄(さてつ)

五本目 右鉄(うてつ)

六本目 富士山(ふじさん)

七本目 松風(まつかぜ)

八本目 夜嵐(よあらし)

九本目 陰転切(いんてんぎり)

十本目 陽転切(ようてんぎり)

十一本目 月影之太刀(つきかげのたち)

十二本目 飛鳥(ひちょう)

十三本目 妙意(みょうい)

十四本目 村雲(むらくも)

 

太刀態 全七種